1937年11月30日、イングランド・サウスシールズ生まれのイギリス人映画監督。
ウェストハートルプール美術大学、ロンドン王立美術大学でグラフィックデザインなどを学んだ後、BBCに入社。BBC退社後、CM制作会社RSAを設立してCM監督として活躍。CM作品ではアップルの「1984」が有名。
1977年に「デュエリスト」で長編映画デビューし、2作目の「エイリアン」が大ヒット。3作目の「ブレードランナー」がカルト的人気を得ました。現在も「ブラックホークダウン」や「キングダム・オブ・ヘブン」など、話題作を撮り続けています。様々なジャンルの映画に挑戦し、リアリティのある映像美を追求する映像派の巨匠です。美術・照明・音楽など芸術面に特にこだわってます。
2003年には映画産業への貢献が評価されて、エリザベス女王からナイトの爵位を授与されました。
弟のトニー・スコットも映画監督で、「トップガン」や「スパイゲーム」、「マイボディガード」などを撮っています。
| リドリー・スコット作品一覧 | トニー・スコット作品一覧 |
| 1977 デュエリスト (The duellists) 1979 エイリアン (Alien) 1982 ブレードランナー (Blade runner) 1985 レジェンド (Legend) 1987 誰かに見られてる (Someone to watch over me) 1989 ブラックレイン (Black rain) 1991 テルマ&ルイーズ (Thelma & Louise) 1992 1492コロンブス (1492: Conquest of paradise) 1996 白い嵐 (White squall) 1997 G.I.ジェーン (G.I.Jane) 2000 グラディエーター (Gladiator) 2001 ハンニバル (Hannibal) 2001 ブラックホーク・ダウン (Black hawk down) 2003 マッチスティック・メン (Matchstick men) 2005 キングダム・オブ・ヘブン (Kingdom of heaven) 2006 プロヴァンスの贈りもの (A good year) 2007 アメリカン・ギャングスター (American gangster) | 1983 ハンガー (The hunger) 1986 トップガン (Top gun) 1987 ビバリーヒルズコップ2 (Beverly Hills cop II) 1990 リベンジ (Revenge) 1990 デイズ・オブ・サンダー (Days of thunder) 1991 ラスト・ボーイスカウト (The last boy scout) 1993 トゥルーロマンス (True romance) 1995 クリムゾンタイド (Crimson tide) 1996 ザ・ファン (The fan) 1998 エネミー・オブ・アメリカ (Enemy of the state) 2001 スパイゲーム (Spy game) 2004 マイボディガード (Man on fire) 2005 ドミノ (Domino) 2006 デジャヴ (Deja Vu) |
ハーヴェイ・カイテル、キース・キャラダイン出演。
フランスのナポレオン時代に2人の軍人が決闘する歴史ドラマ。映像面ではフランスの古典主義画家ジョルジュ・ラ・トゥールの絵画に影響を受けているそうです。デビュー作から絵画の様に凝った構図と映像美を見る事ができます。特にラストシーンの美しさは、リドリー作品の中でも一・二を争うぐらい素晴らしいんじゃないかと思います。内容も、"闘い"のテーマなど、後の監督作品の基礎を感じさせるものになってます。ちなみに、最初の監督作品にはもともと、ジョゼフ・コンラッドの小説「闇の奥」にしようと思ってたそうですが、すでにコッポラ監督がこの権利を取って「地獄の黙示録」を製作し始めていたので、他の短編小説「決闘」にしたそうです。DVDスペシャルコレクターズエディションでは大学時代に撮った短編映画「少年と自転車」が特典映像に入ってます。この短編映画はリドリーが監督・脚本・撮影・編集を行い、弟のトニーが主人公の少年役で父親・母親も脇役で出演していて、貴重な映像作品です。
カンヌ映画祭審査員特別賞受賞。
シガニー・ウィーバー、イアン・ホルム出演。ダン・オバノン脚本。
エイリアンとの遭遇・死闘を描いたSFホラー。クリーチャーデザインにスイスの超現実主義画家のH.R.ギーガー、コスチュームデザインにフランスのメビウス、宇宙船のデザインにロン・コッブなど、アーティストやデザイナーを積極的に起用。光と影を駆使した映像と、緩急をつけて緊張感を出す演出によって一級のサスペンスホラーになってます。"異世界"を圧倒的なリアルさで描くリドリーのお家芸がいかんなく発揮されてます。無名女優が主人公で、監督はイギリスの新人、しかもジャンルがSFモンスターホラーというある意味三重苦にもかかわらず、世界中で大ヒットし、alienという単語に「異星人」という意味を定着させました。シリーズ化されてジェームズ・キャメロン監督の「エイリアン2」、デビッド・フィンチャー監督の「エイリアン3」、ジャン・ピエール・ジュネ監督の「エイリアン4」が製作されていますが、リドリーは関与していません。ちなみに、エイリアン・シリーズはいつも新人監督が抜擢され、その後その監督が人気のヒットメイカーになってることから、「新人監督の登竜門」といわれています。2003年にいくつかのシーンを挿入したディレクターズカット版が製作されました。
アカデミー賞特殊視覚効果賞受賞。美術賞ノミネート
ハリソン・フォード、ルトガー・ハウアー出演。
レプリカントとそれを追うブレードランナーを描いたサイバーパンクSF。工業デザイナーのシド・ミードを未来都市のデザインに起用し、西洋と東洋が混在するディストピア的な未来を創りあげています。酸性雨が降り注ぎ、光とスモークが入り混じり、細部まで徹底的に描き込まれた、その凝ったビジュアルは驚きの一言。屋台のおっさんの「2つで十分ですよ」や強力わかもとの巨大広告など日本的な物が目を引きます。映像・セットだけではなく、役者達の演技や、人間とは何かを考えさせる哲学的な内容も素晴らしくて胸を打つものがあります。 ヴァンゲリスの音楽もまた素晴らしく、特にエンディング曲は最高です。この作品は様々な解読がなされ、SF映画の代表的作品になりました。リドリーは「エイリアン」と「ブレードランナー」という傑作SFでその後の映画やアニメに多大な影響を与えています。製作時のゴタゴタのおかげで、「劇場版」以外に、いくつかのシーンを追加した「完全版」や、監督がナレーションやハッピーエンドを削除してユニコーンの夢を追加した「最終版」が出ました。2007年には公開25周年ということで、「ファイナルカット版」が上映されました。オススメは「ファイナルカット版」です。「メイキング・オブ・ブレードランナー」という本で当時の製作の様子などを詳しく知る事ができます。
アカデミー賞特殊視覚効果賞、美術賞ノミネート。
トム・クルーズ、ティム・カリー、ダーヴィット・ベネント出演。
幻想的なファンタジー映画。後に「指輪物語」の挿絵を手がけるアラン・リーが美術スタッフに参加。エイリアン、ブレラン並に緻密で美しいセットが創られ、映像美が素晴らしいです。台詞が詩の様な独特な感じで、一味違ったファンタジー映画になってます。魔王のデザインは、イギリスのロマン派詩人ウィリアム・ブレイクの絵画を参考にしているそうです。この作品も製作時のゴタゴタのせいで、アメリカ公開版とヨーロッパ公開版の2つのバージョンができてしまいました。このトラブルで音楽を丸ごと差し替えられてしまった作曲家ジェリー・ゴールドスミス(「エイリアン」でも音楽を担当、2004年逝去)は、それ以来リドリーとは一緒に仕事をしていません。日本では未発売ですが、DVDでディレクターズカット版が出ています。トム・クルーズはこの作品の後に、リドリーの弟トニー・スコットの「トップガン」に主演して大ブレイク。
アカデミー賞メイクアップ賞ノミネート。
トム・ベレンジャー、ミミ・ロジャース出演。
ニューヨークを舞台にしたラブサスペンス。「プラトーン」のトム・ベレンジャーがなんだか情けない刑事役。「レジェンド」までのSFやファンタジーなどの大作映画から一転して、現代を舞台にした映画に方向転換しました。オープニングの夜のマンハッタンの空撮が綺麗です。監督作品の中では最も地味な印象の作品ですが、建築やインテリアなどリドリー的な映像も所々あり、上流階級と下町の生活の対比も興味深いです。監督曰く、「それまでの映画3本はとてつもない規模だったから、これは公園を好き勝手に散歩しているような気分だった。いままでよりも人間的なドラマだったよ。」だそうです。音楽ではクラシックやジャズがよく使われていて、オープニング・エンディングで使われている主題歌(タイトルにもなっているジャズの名曲「Someone to watch over me」)も良い感じに映画にはまってます。
マイケル・ダグラス、松田優作、高倉健出演。ヤン・デ・ボン撮影。
日本を舞台にしたアクション映画。若山富三郎、安岡力也、ガッツ石松、島木譲二、内田裕也など日本人俳優が多数出演。松田優作が鬼気迫る存在感でヤクザの佐藤役を熱演しています。日本とアメリカの文化・価値観の対立がドラマの中心です。大阪の街が、リドリーの映像によって未来世界の様なブレランワールドに変身してます。映像以外にも、ドスを使ったバイオレンスシーンや、バイクを使ったスピード感のあるアクションシーンなど、見所が多いです。後にリドリー作品でおなじみになるハンス・ジマーも渋い音楽を作ってます。「エイリアン」の平凡パンチやウェイランド湯谷、「ブレラン」の屋台や看板、「ブラックレイン」の日本人・大阪、「ハンニバル」の日本人観光客など、よく見るとリドリー作品には日本的な物がいろいろ見つかります。松田優作は映画公開直後にガンで急死し、この作品が遺作となりました。
アカデミー賞音響賞、音響効果賞ノミネート。
スーザン・サランドン、ジーナ・デイビス出演。
女性2人の逃避行を描いたロードムービー。監督作品で初めて全編ロケで撮影され、アメリカの自然風景の映像美が満喫できます。疾走する2人の乗ったサンダーバードと、色んなアメリカの音楽やハンス・ジマーの曲がとてもカッコイイです。リドリー作品では珍しくコメディタッチですが、シリアスな面も含んでいて色々と考えさせる女性映画だと思います。色んな事件・出来事を通して変化していく主人公2人の姿はとてもカッコ良く、特にラストシーンの演技と音楽は最高です。脇役の男優陣も素晴らしく、様々なキャラの男性をとても個性的に演じています。ロードムービー・バディムービー・女性映画の三つが見事に揃った作品です。リドリー作品では無名な俳優が抜擢されてそこからその俳優が有名になっていくという事が多いですが、この作品ではブラッド・ピットが脇役で出演し、注目されるきっかけになりました。
アカデミー賞脚本賞受賞。主演女優賞Wノミネート。監督賞、撮影賞、編集賞ノミネート。
ジェラール・ドパルデュー、マイケル・ウィンコット出演。
探検家コロンブスの人生を描いた伝記映画。 コロンブス新大陸発見500周年記念で製作されました。「ブレードランナー」でも組んだヴァンゲリスが再び音楽を担当しています。スペインの建築物や海を航行するサンタマリア号、ジャングルの自然などの映像美が素晴らしいです。特に大陸発見のシーンは映像と音楽が見事に合っていて美しいです。単なるコロンブスの英雄話ではなく、コロンブスの野心・情熱・苦悩・挫折などを描いたシリアスな内容です。絞首刑シーンや、先住民との戦闘シーンなどの残酷描写も多いです。原題の意味は「1492年 楽園の征服」。リドリーは"闘い"というテーマに興味があるそうで、「デュエリスト」や「グラディエーター」では執念に燃える男の闘いを描き、「1492 コロンブス」・「ブラックホークダウン」・「キングダム・オブ・ヘブン」では、異文化の衝突が流血の凄惨な戦いに発展する様を描いています。
ジェフ・ブリッジス、スコット・ウルフ、ライアン・フィリップ出演。
60年代に実際に起きた海難事故をもとにした青春ドラマ。「1492 コロンブス」に続いて海と船が舞台。アルバトロス号の海洋学校での生活を通して成長していく少年達がドラマの中心で、それを美しい自然やリアルな海の映像が盛り上げます。60年代の雰囲気も何気ないようですが巧く出ています。"白い嵐"のシーンは極限状態の迫力がよく出ていて感動的なシーンです。監督曰く「彼ら(アルバトロス号の悲劇の関係者)は今まで、こと細かに自分達の体験を世間に語る機会が得られなかっただろう。だから、映画が事件をもっと尊重してもらうきっかけになればありがたい。」だそうです。リドリーは実話系の話に興味があるらしく、デビュー作に選んだ小説「決闘」も実話からできたものだそうで、「1492 コロンブス」では実在した人物コロンブスを描き、「白い嵐」、「ブラックホークダウン」では実話の事件を再現しています。
デミ・ムーア、ヴィゴ・モーテンセン出演。
女性兵士が過酷なSEALの訓練に挑む軍隊ドラマ。主演のデミ・ムーアが筋骨逞しい体と気合いの入ったスキンヘッドで孤軍奮闘しています。後に「ロード・オブ・ザ・リング」のアラゴルン役で大活躍するヴィゴ・モーテンセンの鬼教官ぶりも良いです。豪腕の女政治家を演じるアン・バンクロフトも巧いです。軍隊の特殊な男社会が舞台で、その中で二重標準・政治の駆け引き・女権運動など様々な思惑が絡みます。映像では、様々な過酷な訓練が中心で、その生々しく苛烈な光景から苦痛までも伝わってきそうです。終盤の戦闘シーンの前後に揺れるカメラワークが特徴的。リプリー、プリス、テルマ、ルイーズ、ルッシラ、クラリスなど、リドリー作品に登場する女性は、行動力があって強い女性が多いですが、「GIジェーン」のオニールはその中でもぶっちぎりの強さを発揮してます。
ラッセル・クロウ、ホアキン・フェニックス出演。
古代ローマ帝国時代の剣闘士の闘いを描いた史劇映画。フランスのロマン主義画家ジャン・レオン・ジェロームの「指し降ろされた親指」に触発されて製作を決意したそうです。原寸大セットやCGの映像を上手く駆使して、スケールの大きいローマの世界や巨大コロシアムを創りあげています。冒頭のゲルマニアでの戦闘やコロシアムの戦いなど戦闘シーンは迫力があり、ドラマ部分も役者達が好演しています。主役のラッセル・クロウのカリスマ性を感じさせる堂々とした演技が素晴らしく、皇帝役のホアキン・フェニックスの複雑な感情を持った演技も引けを取らず素晴らしいです。二人の男が執念で戦う様は、「デュエリスト」を彷彿とさせます。ハンス・ジマーの音楽とリサ・ジェラードの歌声も映画を盛り上げています。総興行収入では監督作品の中で一番稼ぎました。60年代以降パッタリと作られなくなった史劇映画というジャンルを復活させ、この作品のヒットをきっかけに史劇映画ブームが起こります。
アカデミー賞作品賞、主演男優賞、音響賞、視覚効果賞、衣装デザイン賞受賞。
監督賞、脚本賞、助演男優賞、編集賞、美術賞、撮影賞ノミネート。
アンソニー・ホプキンス、ジュリアン・ムーア、ゲイリー・オールドマン出演。
「羊たちの沈黙」の続編のサスペンスドラマ。リドリーが珍しく続編物に挑戦。前作から10年の歳月も経ってるし、あまりシリーズ物だと考えてないのかも。冒頭の銃撃戦からラストの晩餐シーンまで、残酷描写が多めです。イタリアのフィレンツェが舞台で、昼間は観光客でごったがえすブレラン的雰囲気だったり、夜は闇に覆われて不気味な雰囲気になったりと、映像が美しいです。原作で物議を醸したラストは、リドリーがあまり好きではなかったので脚本家・原作者と話し合って違う結末になってます。ちなみに、リドリーはグラディエーター撮影中に製作者のディノ・デ・ラウレンティスにこの映画の監督を依頼されて、カルタゴのハンニバル将軍の話かと勘違いして、断りそうになったそうです。「グラディエーター」「ハンニバル」「ブラックホークダウン」はリドリーらしいリアルな残酷描写満載で、アメリカではR指定になってしまいましたが、3本とも1億ドルを超えるヒットとなりました。
ジョシュ・ハートネット、エリック・バナ、ユアン・マクレガー出演。
物語性を排除し、映画の80%を戦闘シーンが占める戦争映画。本物のヘリ・車輛・兵士も参加して、最悪の銃撃戦となった当時の極限状態の戦場をとことん再現しています。主人公が誰だったか分からなくなるぐらい多数の登場人物が入り乱れる群像劇で、一回見ただけじゃ人物の把握は不可能。リドリーの映像美が全編に渡って炸裂し、現場の兵士の視点の臨場感ある映像で、戦場の緊張感や恐怖を感じさせます。起こった出来事を時系列通りに淡々と重ねていくドキュメンタリータッチの作風は今までに無い異様な迫力を生みだしました。監督曰く、「観客に問いかける作品であって、答えを提供する作品ではない」だそうです。この事件についてさらに知りたい場合には、原作を読んだり「ブラックホークダウンの真実」を見る事をオススメ。DVDではコメンタリーや特典映像が充実したコレクターズボックスが出ています。
アカデミー賞音響賞、編集賞受賞。監督賞、撮影賞ノミネート。
ニコラス・ケイジ、サム・ロックウェル出演。
潔癖性の詐欺師が主人公のドラマ。大作が続いたリドリーがちょっと方向転換して小規模でコメディの要素もあるドラマに挑戦。潔癖性の性格はリドリー自身の性格も反映されてるとか。ニコラス・ケイジ演じるかなり癖のある病的な主人公が、娘との出会いで次第に変わってくる所が良いです。親子のドラマと同時に、詐欺師の世界が描かれます。リドリー作品は暴力描写が含まれる事が多い(特にグラディエーター以降)ですが、この作品ではほとんどありません。映像ではプールの水の光を利用した照明や統一された色調などが良いです。役者の人はみんな良い演技を見せてますが、特にアリソン・ローマンは14歳の娘役を巧く演じています。サム・ロックウェルも飄々としてかっこいいです。DVDの特典映像にあるメイキングは、リドリーの映画の製作過程を詳しく見る事が出来るのでオススメです。
オーランド・ブルーム、リーアム・ニーソン、ジェレミー・アイアンズ出演。
中世の十字軍とサラセン軍の戦いを描いた歴史映画。聖地エルサレムをめぐってキリスト教とイスラム教が戦争する時代を通して、善・宗教・平和について考えさせる作品になってます。セットや衣装・装備が細部までこだわって描かれ、映像も絵画のように美しいです。様々な文化・人種・宗教が混在するエルサレムは、まさにリドリーが好む世界です。投石機ややぐらを使った攻城戦など、人間と人間がぶつかりあう凄惨な戦闘シーンも迫力があり、壁一枚を隔てて人間同士が争う空しさを俯瞰でとらえています。オーランド・ブルームは自分の信念・理想に従って行動する主人公をしっかり演じていて、周りを固める役者陣も巧いです。特に賢王ボードワン4世とイスラムの英雄サラディンは素晴らしいの一言。音楽では、ハンス・ジマーではなく、初担当になるハリー・グレグソン・ウィリアムズが聖歌風・アラビア風の音楽など美しい曲を作っています。人物や地名・出来事はかなり史実に沿っていて、馴染みが薄い名称もあるので、キングダム・オブ・ヘブン websiteも参考にしてみて下さい。実は劇場版は約50分カットされたバージョンで、本来のディテクターズカットは約3時間があり、より深い内容なのでこちらの方がオススメ。
ラッセル・クロウ、マリオン・コティヤール、アルバート・フィニー出演。
伯父の遺産のプロヴァンスのブドウ園を引き継いだイギリス人トレーダーのコミカルなドラマ。イギリス・ロンドンの寒色で硬質な映像で描かれるビジネス世界と、フランス・プロヴァンスの暖色で柔らかい映像で描かれる牧歌的世界の対比が面白いです。ブドウ園を売り飛ばそうと画策するイギリス人と、それを防ごうとするフランス人の攻防がメインで、そこにフランス人女性との出会いと恋、過去に過ごした伯父との記憶、所有権を主張するアメリカ人女性がからまってにぎやかな映画になってます。マッチスティックメンに続いて、リドリーには珍しいコメディ風味です。マリオン・コティヤール、アビー・コーニッシュなど、女性キャラが多いのも特徴的。ラッセル・クロウはグラディエーターに続いてリドリー作品では二度目の出演ですが、マキシマスとは全く違うキャラを演じています。伯父さんのアルバート・フィニーと子供時代のフレディ・ハイモアのやりとりも面白いです。
デンゼル・ワシントン、ラッセル・クロウ、ジョシュ・ブローリン出演。
70年代のハーレムで麻薬によってのしあがった黒人ギャングを描いたギャング映画。ギャングのフランク・ルーカスと、刑事のリッチー・ロバーツを同時に描いていく構造になっています。リドリーは「デュエリスト」「ブレードランナー」「グラディエーター」など、二人の男を主人公にして「追う者と追われる者」の闘いを描きつづけていますが、この映画もまさにその流れの作品です。対極の世界にいるフランクとリッチーの人生が対比されながら描かれ、それを通してアメリカの社会、時代、戦争、麻薬、腐敗などが浮かび上がってきます。リドリー作品初出演になるデンゼル・ワシントンは、いわゆる強面ではなくて、スマートなビジネスマン的ギャングを好演していて、三度目の出演になるラッセル・クロウも、ユニークなキャラの刑事を好演しています。フランクの母を演じるルビー・ディーや、悪徳刑事のジョシュ・ブローリン、イタリアン・マフィアのアーマンド・アサンテ(この人は1492コロンブスにも出演)など、脇役のメンツも多彩です。世界作りは、いつも通り細部まで作り込まれていますが、撮り方が独特で、いつものタッチとは変えてきています。前作から音楽を担当しているマーク・ストライテンフェルドの曲も映画にあっていて良いです。
アカデミー賞助演女優賞、美術賞ノミネート。
レオナルド・ディカプリオ、ラッセル・クロウ出演。
最新作は、中東でテロリストを追うCIAの話だそうです。
今後の監督予定作品として、以下のようなタイトルが噂されています。「エイリアン5」の噂などがありましたが、これはどうやら流れた模様。
リドリー・スコットは特定のジャンルにこだわらずに様々な題材の作品を選び、キャスティングに関しても同じ役者を再び起用する事はほとんどありません。ジャンルや役者はバラバラですが、製作スタッフは結構安定しています。